🦐 生成AIの幅広い知識で満足していませんか?
こんにちは、松田 祐典です。
昔の講演リバイバルシリーズを
続けようと思っていたのですが、
先週末に大事件があって、
1日遅れになってしまいました。
今日はみなさんが使っている
生成AIについて、一歩進んだ
使い方を紹介します。
産科麻酔についてプロ目線で
質問に答えてくれるAIを作ったので、
それを皆さんに共有します。
プロによるプロのためのAIです。
🍥 もくじ
1.🐉 日常の一枚
2.📚 ぼくらに「広すぎる知識」は必要ない
3.🦄 RAGという考え方
4.🤔 どうやって作ったのか
5.⚖️ AIは、何ができるのか
6.📱 まずは、雑に聞いてみよう
7.🏋️ もちろん、限界もあります
8.🧠 だれでもプロ思考が手に入る時代
9.🤖 まずは、触ってみよう
10.📨 お知らせ
🐉 日常の一枚
前回のニュースレターでは、
満開の桜をお届けと言っていたにも関わらず、
曇天の中の桜しか写真に収められませんでした。
じつは、先日結婚23周年ということで、
久しぶりに家内と二人で
軽井沢まで1泊2日で小旅行に行ってきました。
写真は、軽井沢で有名な「白糸の滝」。
鬱蒼とした山の中に、
ひっそりと佇む滝を眺めていると、
ほんとうに心が洗われます。
📚 ぼくらに「広すぎる知識」は必要ない
今日は、すこしいつもと違う話です。
論文の紹介ではなく、
最近ぼくが作った「産科麻酔に特化したAI」について書きます。
ChatGPTを使っている先生は、
もうかなり増えてきました。
論文の要約。
メール文の下書き。
発表スライドのたたき台。
こうした使い方だけでも、十分に便利です。
でも、医者として使っていると、
どこかで違和感も出てきます。
答えは速い。
文章もきれい。
でも、なんとなく「広すぎる」のです。
それっぽい一般論は返ってくる。
ただ、臨床の現場で本当に欲しいのは、
そういう話ではないことも多いですよね。
無痛分娩のやり方
帝王切開の麻酔法
術後鎮痛プラン
分娩後出血の対応
母体低血圧管理
同じ「麻酔」でも、
産科麻酔には独特の文脈があります。
この文脈を無視して、
広くてきれいな答えだけ返ってきても、
現場ではあまり役に立ちません。
むしろ、
「それっぽいけれど、微妙に違う」
という答えがいちばん厄介。
じつは、ぼくら専門家に必要なのは、
汎用性の高いAIではなく、
深くて狭い知識を持ったAIなんです。
🦄 RAGという考え方
ここで出てくるのが、
「RAG」という仕組み。
英語では、
Retrieval-Augmented Generation。
日本語にすると、
「必要な資料を元に答えてくれるAI」
です。
普段みなさんが使っているChatGPTは、
巨大な図書館を持っている博識な人。
なんでも知っている。
でも、広すぎる。
一方でRAGは、
そのAIに向かって、
「今日はこの本棚だけを見て答えてください」
とお願いする仕組みです。
今回ぼくが読ませたのは、
・産科麻酔の教科書
・これまでに執筆してきた論文
・発表資料や解説の文章
です。
つまり、
ただの汎用AIではありません。
産科麻酔という棚。
そして、ぼく自身が積み上げてきた知識の棚。
そこに意図的に絞って、
質問に答えるAIです。
🤔 どうやって作ったのか
今回やったことは、
実はそこまで複雑ではありません。
まず、読ませる知識を絞りました。
産科麻酔の教科書。
自分の論文。
自分の発表資料。
ここに限定しました。
次に、AIが必要な箇所を
拾いやすいように整えました。
PDFをただ置くだけでは、
意外とうまくいきません。
章やテーマが分かること。
同じ言葉の表記が揺れすぎないこと。
出典に戻れること。
こうした地味な整備が、
実はかなり大事です。
そして、
「誰に使ってほしいか」
を最初から決めました。
今回の対象は、
ぼくのニュースレターを読んでくださっている麻酔科医です。
なので、
・臨床の疑問
・教育
・抄読会
・学会発表の準備
このあたりの場面を意識して、
答え方の方向を整えました。
RAGは、
技術の問題に見えます。
でも実際には、
知識の選び方と、使う人の想定がほとんどです。
🦉 生成AIの弱点は「賢いこと」
少し逆説的ですが、
生成AIの弱点は、
その「賢さ」だと思っています。
なんでもそれっぽく答えられる。
だからこそ、
専門領域では危うさが残る。
医療は特にそうです。
一般論を知っていることと、
その患者さん、その症例、その現場の文脈で
どう考えるかは、
まったく別の話です。
産科麻酔では、
ひとつの論点を考えるにも、
母体、胎児、分娩進行、緊急度、施設体制、
そして術者や麻酔科医の経験まで絡んできます。
この「文脈の濃さ」があるので、
AIは便利だけれど、
そのままでは少し遠い。
だからこそ、
知識を広げるのではなく、
むしろ「絞る」ことに価値があります。
RAGの本質は、
知識を増やすことではありません。
厳選された知識に絞って、
答えの出発点を整えることなんです。
⚖️ AIは、何ができるのか
このAIは、何かを最終決定を
してくれる存在ではありません。
診療の責任を負うのは、
当然ながら人間です。
でも、
「考えるための相棒」としては、
かなり優秀。
たとえば、
・あるテーマについて、まず全体像を整理する
・関連する論文や論点を素早く引き出す
・若手向けに、やさしく説明し直す
・学会発表や勉強会のたたき台を作る
・自分の理解が偏っていないかを確かめる
こうした場面では、
かなり使えます。
ぼく自身、
論文やスライドをゼロから探していた頃よりも、
知識へのアクセスがかなり滑らかになりました。
「前に自分で調べたはずなのに、
どこに書いたか思い出せない」
こういうこと、ありますよね。
RAGは、
この「思い出せない」をかなり減らしてくれます。
📱 まずは、雑に聞いてみよう
こういうAIは、
きれいなプロンプトを作ろうとすると、
逆に使いづらくなります。
最初は、
雑で大丈夫です。
たとえば、
「高BMI妊婦の帝王切開麻酔で、何を先に考える?」
「このテーマで重要論文だけ整理して」
「若手向けに3分で説明して」
「この論点について賛成意見と慎重意見を分けて」
「この内容を勉強会スライドの見出しにして」
このくらいで十分です。
AIの良いところは、
聞き直せることです。
しかも、
相手は疲れません。
何回でも、
別の角度から聞けます。
これは、
人に聞く前の「思考整理」として、
かなり相性がいいです。
🏋️ もちろん、限界もあります
ここまで読んで、
「では、これで論文を読まなくてよくなるのか」
というと、それは違います。
原著論文に戻ること。
ガイドラインを確認すること。
最終的に自分で考えること。
これは、やはり必要。
AIは、勉強を代わりにやってくれる
魔法の杖ではありません。
でも、勉強の入口を
劇的に低くすることができます。
そして、知識と知識をつなぎ直すスピードは、
劇的に上げられます。
ここがRAGのメリットです。
🧠 達人の思考回路の民主化
昔は、「知っている」が強かった。
でも今は、知識そのものよりも、
必要なときに必要な知識に
速く到達できる人が強い時代です。
・検索が速い人。
・整理がうまい人。
・問いの立て方が上手な人。
そういう人の価値が、
どんどん上がっています。
今回つくったAIは、
そのためのツールです。
知識をサボるための道具ではなく、
知識への到達を速くするための道具。
そして、その知識を、
自分の現場でどう使うかまで考えるための道具です。
🤖 まずは、触ってみよう
いろいろと小難しい話もしましたが、
重要なことは、ChatGPTみたいなAIを
ぼくら臨床家でも作れる時代になりました。
もし興味があれば、
まずは一度、
雑に触ってみてください。
きれいに使おうとしなくて大丈夫です。
「前から気になっていたこと」を、
そのまま聞いてみてください。
使ってみて、
よかった質問。
微妙だった質問。
こんな機能がほしいという要望。
そういうフィードバックも、
もしあればぜひ教えてください。
こういうツールは、
作って終わりではなく、
使われながら育っていくものだと思っています。
📨 お知らせ
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ありがとうございました。
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