🦐 正しいブロック範囲の確認方法は?

【創刊号】1/12〜1/23に放送した5本の論文の紹介。PDPH、術後鎮痛、PONV等を取り上げました。今回のトピックは、脊髄幹麻酔でお馴染みの「コールドテスト」。当たり前すぎてちゃんと意識しない臨床スキルを深掘りします。

先週の金曜日、1月23日にようやく診療報酬改定の内容が一部公開されました。医療課長から「だらだらと長い資料を作るんじゃない。」と厳しく指導されてきましたが、総ページ数は807と、今までの記録更新。こんなに長い資料、どこをみればいいんだよって、途方に暮れるかもしれませんが、麻酔に関しては1項目のみ。

今回は日本麻酔科学会を含め、多くの方々のサポートをいただきながら、仕事に臨むことができました。解説は次回となりますので、そちらも楽しみにしていてください。大きな変化の小さな一歩になることを願っております。

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中医協 総ー2(8.1.23)

🐸 もくじ

  1. 🏢 日常の一枚
  2. 🗣️ #ワンますラジオ振り返り
    1. 🤰🏻 産科麻酔のPDPHは、他のPDPHとは全くの別物【1/12】
    2. 💉 術中β遮断薬は「鎮痛薬」になり得るか?【1/14】
    3. 🧊「冷覚消失」と「冷覚低下」、ちゃんと意識してる?【1/19】
    4. 🤮 新時代のPONV対策:Apfelスコアの次は?【1/21】
    5. 🪶 帝王切開術中の痛みを防ぐには、T6の「触覚」消失が必要【1/23】
  3. 💐 隣は何をする人ぞ:コールドテストは十人十色
  4. 🦋 誰も教えてくれない「正しいコールドテスト」
  5. 💕 みんながハッピーになる「冷覚消失」による評価
  6. 🏥 施設のポリシーとして、評価を標準化するメリット
  7. 📻 #ワンますラジオを聴き逃した方はコチラ
  8. 📝 徒然なるままに

🏢 日常の一枚

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会議が終わった後、目に飛び込んできた庁舎の裏側をパシャリ

霞が関にある第5合同庁舎を中庭から撮影した一枚。厚労省では、この中庭に駐車した健診車で健康診断を受けますが、希望者は人間ドックでもOK(しかも補助金あり)。半年前に、人生初の人間ドックを受けました。

🗣️ #ワンますラジオ振り返り

2026年が始まっても、地道にコツコツ淡々ラジオも続けていきます。「ラジオ、聴く暇がなくって、、、」そういう声はよく聴きます。ぼくも昔はそうでした。でも、そもそもラジオは他のメディアと違って、むしろ時短になるって知っていましたか?


みなさん、ラジオの前に座って、「よーし、ラジオ聴くぞ」ってならないですよね。#ワンますラジオもそうですが、基本的にラジオは、【ながら聴き】がメインです。スマホでゲームやりながら、BGMとして流して、ちょっと気になった時に意識を向けてみる。そんなことでも、十分勉強になります。


と、ラジオの宣伝はこのくらいにしておいて、この2週間でお話しした内容を、サクっとまとめていきますね。

🤰🏻 産科麻酔のPDPHは、他のPDPHとは全くの別物

(Weiss A, et al. Int J Obstet Anesth. 2025; 64: 104747.)

Dr. Mazdaの所感:PDPHは慢性頭痛(15日以上/月の頭痛が3か月以上持続)、慢性腰痛(産後1か月以降に反復する腰痛)だけでなく、5年後の高度機能障害にも繋がっていたことを考慮すると、PDPHの予防と積極的なブラッドパッチは重要。無痛分娩のひろがりと共に、こういった合併症が注目されるようになるので、ぜひ積極的に介入治療してください。

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©️2026ワンますニュース

💉 術中β遮断薬は「鎮痛薬」になり得るか?

(Neto EDDS, et al. Anesth Analg. Online ahead of print.)

Dr. Mazdaの所感:多角的鎮痛では、リドカインやケタミンを併用しながら、β遮断薬を併用することで、術中のオピオイド投与量を減少できる。果たして、単に血行動態を押さえつけているだけなのか、それとも真の鎮痛効果があるのか。疑問は晴れることはないが、多角的鎮痛の一翼にβ遮断薬を置くことは匠の麻酔に近づく。

個人的にはプロプラノロール(インデラル©️)が好きです。2mg/1Aで、0.5-1mg投与し、15分して効果が乏しければ、1mg追加。3時間くらい効果はあるので、術中に追加する必要がないので、シリンジポンプ要らず。喘息発作には注意(吸入麻酔なら関係ないかも)。個人の判断でご使用ください。

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©️2026ワンますニュース
🧊 「冷覚消失」と「冷覚低下」、ちゃんと意識してる?

(Kordich L, et al. Int J Obstet Anesth. 2025; 64: 104753.)

Dr. Mazdaの所感:このニュースレターの後半のメインにもなる論文。無痛分娩の突発痛、いわゆるbreakthrough painについて、麻酔レベルがどのくらいまで下がっていると起こるのか、どのレベルまで追加投与すれば改善するのかを見た研究。診療の考えをちゃんと研究で明らかにする師匠の姿に脱帽です。

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©️2026ワンますニュース
🤮 新時代のPONV対策:Apfelスコアの次は?

(Gan TJ, et al. Anesth Analg. Online ahead of print.)

Dr. Mazdaの所感:麻酔科医の大好きなPONVの新しいガイドライン。リスク評価で層別化して麻酔方法を選択することは、公的医療保険では重要。病院収益云々より、無駄な医療費を使わないことは、医療現場で働く納税者の姿勢として重要。ちなみに薬価の差益は4%程度なので、さほど病院の収益増加にも繋がらず、どんどん製薬企業に利益が吸い取られていくだけな懸念もあります。

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©️2026ワンますニュース
🪶 帝王切開術中の痛みを防ぐには、T6の「触覚」消失が必要

(Russell IF. Int J Obstet Anesth. 2004; 13: 146-152.)

Dr. Mazdaの所感:帝王切開麻酔における脊髄くも膜下麻酔で必要なブロックの評価という点で、マイルストーンとなった古典的な論文。いまではあたり前の「帝王切開の麻酔高はT4」の根拠にもなった論文の1つ。脊髄幹ブロックの評価をさまざまな方法で行なうのは、実際にかなり骨が折れます。実際にぼくがカナダで行なったRCTでも、コールドテストとピンプリックを左右1時間ごとに6時間まで行うのは大変でした。

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©️2026ワンますニュース

💐 隣は何をする人ぞ:コールドテストは十人十色

 みなさん、どんな風に脊髄幹麻酔のレベルチェックしていますか?【ピンプリックでないとダメ】派もいるのは重々承知していますが、今回は、コールドテストに焦点をあてていますので、ピンプリックは忘れてください。 (まぁ、究極的にはピンプリックにも関係しますが、、、)

 さらに、コールドテストといっても、アルコール綿で行うか、氷嚢で行うか、保冷剤で行うか、具体的に使用するモノも、今日はトピック外とさせていただきます。(ちなみにイギリスでは、アルコールを噴霧して評価するのが主流だそうです。)

 では、一体何をもってコールドテストについて語るのか?と疑問に思いますよね。本日は、冷覚が低下している部分で評価するのか、それとも冷覚が消失、

つまり全く冷たさを感じていない部分で評価するのかという話になります。でも、コールドテストは冷覚低下で測るか、冷覚消失で測るかについては、ちゃんと習ったことってないですよね。

🦋 誰も教えてくれない「正しいコールドテスト」

思い起こしてみれば、みなさん、ちゃんとコールドテストのやり方って習いましたか?おそらく、指導医の先生がやっているのを見て、「コールドテストって、こうやるんだ。」と思って、見様見真似でやり続けていると思います。

 ぼくもカナダで働く前は、そこまで意識していませんでした。ある日、トロント大学の師匠Dr. Jose Carvalho(カルバロ先生)からこう言われました。

「ヘイ、Yusuke!コールドテストは、冷覚消失のはずなのに、なんでみんなバラバラな評価をしているんだ。それぞれの国でプラクティスが違うからなのか?これだと、レベルチェックの検者間格差が出てしまうじゃないか。オマイガー!!」

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(ぼくの記憶を辿って和訳しているので、若干、誇張されていますww)

 そこで習ったのは、冷覚消失と冷覚低下でブロックの評価は違う。冷覚消失の範囲は、痛みがちゃんととれる範囲。 冷覚低下の範囲は、交感神経が部分的に遮断されていて、ある程度鎮痛できる範囲。

 脊髄くも膜下麻酔だと、冷覚消失と冷覚低下の範囲って、2分節くらいですが、硬膜外麻酔、特に産痛緩和でPIEB(間欠硬膜外ボーラス)では、冷覚消失と冷覚低下の範囲が4分節くらいまで変わります。 (de Souza Soares EC, et al. Can J Anaesth. 2022; 69: 750­­-755)

 標準化されたコールドテストを行うことで、適切に麻酔範囲を評価し、ベストな麻酔管理につなげることができます。

💕 みんながハッピーになる「冷覚消失」による評価

 冷覚低下、つまり「おでこと同じくらい冷たくなったら教えてください」とコールドテストをやっていると、こんなことってありませんか?

 足の方から冷たいものを当てて、評価していると、患者さんが考え始めて、「冷たいけど、おでこと同じくらい?いや、違うか?」疑問をかかえた表情でレベル評価が曖昧になってしまう。そんな経験って、誰しもあると思います。

 そうすると、レベルチェックの評価はあいまいになります。真面目な麻酔科医は、きっちりおでこと同じ領域まで評価しますし、ぼくのようにちょっといい加減な麻酔科医は、まぁ、この辺かなって評価になります。

 それが、「冷たく感じたら教えてください」で評価すると、患者さんが考えることがなくなります。つまり、めちゃめちゃ評価が楽になります。

  特に無痛分娩では、麻酔レベルの評価を助産師・看護師に行ってもらうことが

多いので、コールドテストを冷覚消失で評価するようにすると、評価がばらついてしまいます。

 今回取り上げた研究でも、T10の冷覚消失が、無痛分娩の突発痛を予測する重要な因子であることが明らかになっています。(Kordich L, et al. Int J Obstet Anesth. 2025; 64: 104753.)

 もちろん、冷覚低下と冷覚消失の両方を評価して、「ブロックレベルは下(冷覚消失)がT12、上(冷覚低下)がT9」と記録することが正しいことではありますが、評価が2つになってしまい、物事が複雑化してしまいます。

 評価する側も、評価される側も簡単で、かつ臨床的に意味のある指標としてコールドテストを行うのであれば、冷覚消失がベストと思っています。

🏥 施設のポリシーとして、評価を標準化するメリット

 このコールドテストで冷覚消失を評価する方法は、あなただけが行えばいいものではありません。ぼくが産科麻酔の診療部長だったころは、【産科麻酔科でのブロック評価は、必ず冷覚消失】というポリシーでした。

  産科麻酔の特性上、同じ施設で分娩を繰り返すことがあります。そのため、前回の帝王切開の麻酔や無痛分娩が、どうだったかを振り返るとき、コールドテストが冷覚消失なのか、冷覚低下なのかは重要なポイントです。

 ぼくらの診療録には、「コールドテストT4」という記録しか残りません。帝王切開でブロックがT4だったけど、術中痛かったというのは、冷覚低下だったら起こりえますが、冷覚消失であれば麻酔が早く切れたのか、術中操作を痛みと感じたのか、様々な憶測を呼びます。

 また、無痛分娩で「コールドテストでT10で痛がっています。」と言われた場合、T10の冷覚消失であれば、回旋異常等の体性痛を考えて、高濃度の局所麻酔薬でレスキューをしますが、T10の冷覚低下であれば、まずはPCEAでトップアップとなります。

 このように、自分自身が冷覚消失で評価するだけでなく、施設全体で言語を統一することによって、診療の標準化やより質の高い診療へつながります。

📻 #ワンますラジオの聞き直し

忙しい臨床のすきま時間に、お聴きいただけると嬉しいです。聞き逃し配信をこちらにまとめました。

2026年1月12日(月)

2026年1月14日(水)

2026年1月16日(金)

2026年1月19日(月)

2026年1月21日(水)

2026年1月23日(金)

📝 徒然なるままに

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。今回初めて、ニュースレターに挑戦してみましたが、いかがだったでしょうか。


もし、内容を気に入っていただけましたら、周りの同僚にワンますニュースをオススメしていただけますと嬉しいです。さらに、いいねとか、コメントとかいただけましたら、泣いて喜びます。


それでは、また次回のニュースレターでお会いしましょう。

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